常念山脈(長野) 前常念岳(2661.9m)、常念岳(2857m) 2024年6月1日  カウント:画像読み出し不能

所要時間  2:24 三股駐車場−−2:38 三股−−4:21 2170m肩−−5:28 前常念岳−−6:11 常念岳 7:20−−7:48 前常念岳−−8:34 2170m肩−−9:27 水浴び 9:33−−9:34 三股−−9:47 三股駐車場

場所長野県安曇野市/松本市
年月日2024年6月1日 日帰り
天候
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場三股に第一駐車場ありだが週末は満車になることが多く、手前の第二駐車場を利用することになる
登山道の有無あり
籔の有無基本的には無しだが標高が低い樹林帯の一部では笹が足元を濡らす箇所あり
危険個所の有無無し
山頂の展望どちらの山頂とも晴れれば文句なしの大展望
GPSトラックログ
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コメント先週より少し負荷を上げて今年初の常念岳を三股から往復。念のために軽アイゼンを持ったが前常念岳〜常念岳間の残雪は僅かで出番はなかった。まだ夏山シーズン前で下山時の三股駐車場の入りは2/3程度で、山頂もポツポツと人が上がってくる程度だった。予報では山頂の気温は+1℃前後となっていたがずっと暖かかった。天気は良かったが関東方面の天気の回復は遅れていて東から南東に見える山々は霞んでいたり見えなかった。懸念された体力は通常より落ちたままであったが、標高差1600mでも問題ないことが確認できた


前常念岳の西側から見た常念岳。既に残雪は僅かで夏山シーズン直前の状況


1時間寝坊して三股駐車場を出発 ゲート
林道終点、。昨年も見た多摩ナンバーの車があった 三股分岐を常念岳方面へ
標高1450m付近。霧が流れる 午前4時12分。ギリギリでライト不要な明るさに
2200m肩の構造物跡 午前4時半過ぎに日の出
標高2350m付近の梯子が森林限界 イワナシ
森林限界尾から見た蝶ヶ岳の稜線 森林限界直後
標高2450m付近。急登の真っ最中 前常念岳直下の避難小屋
前常念岳 標高2680m付近の残雪。柔らかくてアイゼン不要
標高2680m付近から見た常念岳 常念小屋巻道分岐。まだ冬季通行止め状態
キバナシャクナゲ 標高2780m付近の残雪。ここもアイゼン不要
登山道は稜線裏側にあるので登山道に雪は無い 三股方面分岐で縦走路に合流
最後の登り 霜柱がまだあった
常念岳山頂 安曇野には霧が出ているようだ
常念岳から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
常念岳から見た穂高連峰〜槍ヶ岳
常念岳から見た乗鞍岳
常念岳から見た立山、剱岳
常念岳から見た後立山
常念岳から見た木曾御嶽 常念岳から見た恵那山
常念岳から見た鹿島槍ヶ岳 常念岳から見た白山
常念岳から見た蝶ヶ岳 氷が張っていた
イワウメ。まだ開花し始め 常念小屋とテント場
前常念岳の稜線 ヒメイチゲ
親子連れ ミネズオウ。たくさん咲いていた
前常念岳 避難小屋前で今年初の雷鳥発見!
オス。堂々としていた メス。腰が引けている
前常念岳からの下り 今シーズン初のツガザクラ
コイワカガミ 刈り払った形跡あり
ミツバオウレン バイカオウレン
ミヤマカタバミ。日が高くなると花が開く 標高2040m付近で一時的にガスに入る
標高2000m付近の倒木 ズダヤクシュ
標高1640m付近の倒木 マイヅルソウ
標高1580m付近の倒木 ユキザサ
標高1540m付近で西側から沢音が聞こえる おそらく咲き終わったエンレイソウ
迂回路分岐 最後に沢で水浴び
三股分岐 タチカメバソウ
タガソデソウ。ここでしか見たことがない 林道終点
林道を横断する沢。昨年より水量が多い オドリコソウ
クルマムグラか? ラショウモンカズラ
崖崩れ箇所は工事が終わったようだ ツツジ
ゲート 三股駐車場はまだ空きあり


 先週は針ノ木岳で残雪を楽しんだので今週は白馬岳でもと考えたが、標高差約1400mの針ノ木岳に対して白馬岳は約1700m。しかも距離が長くアイゼンを付けたまま長時間行動が必要であり、コロナ罹患後の脚力低下の影響でまだ不安がある。そこでその前段階として標高差1600mの常念岳に登ることにした。この時期はもうアイゼン不要で負荷が軽いので、この標高差でも大丈夫だろう。ただし前日は雨だったので稜線のハイマツが濡れたままだとイヤだなぁ。

 前日は通院のため早めに会社を上がっていつもより2時間近く早く出発し、登山口の三股到着は午後7時だった。まだ雨が降っていて駐車場の車は2,3台しかない。今日は台風崩れの低気圧が南岸を通過して長野でも一日雨だったので、小屋泊まりでも人は少ないのは当然だろう。一番奥の林道ゲート前の区画に車を入れて酒を飲んで寝た。

 起床予定は夜中の1時で目覚ましをセットしたのだが、時刻を設定したがアラームをONに設定するのを忘れたために寝坊して午前2時前に起床。自然に目覚めて時計を見て焦ってしまった。まあ、1時間遅れても特に問題はないのだが(下山時に暑くなるくらい)、急いで飯を食って午前2時半前に出発した。

 事前にこのルートの残雪状況をSNSで確認したところ、残雪は僅かで4本爪軽アイゼンでも大丈夫そうであったので、数年ぶりに持つことに。標高3000mの気温予想は+1℃と低かったため、先週に引き続いて防寒装備のダウンジャケットをザックに入れた。しかし下山時は気温が上がるだろうからと暑さ対策で半ズボンに濡れタオル、扇も持った。このうち使用したのは半ズボンだけで済んだ。

 まだ暗い林道を歩いて終点へ。車が2台あるが蝶ヶ岳ヒュッテ関係者だろう。昨年もあった多摩ナンバーのジムニーは今年も健在だった。この付近ではオドリコソウ、タガソデソウが咲いていた。タガソデソウはここでしか見たことがない花である。

 三股分岐から常念岳方面へ。登り始めてすぐに体が温まって上半身は半袖に変身し、毛糸の帽子を脱いで手袋も脱ぐ。毛糸の帽子も手袋も無しは今シーズン初めてで、それだけ季節が進んだと言うことだろう。今回は山頂の気温が0℃近いので防寒テムレスでもちょっと不足するかもしれないが、寝坊で山頂到着が遅れて日が高くなって体感的には暖かくなってくれるだろう。

 出だしから急登の連続で足への負荷が重いが、思ったよりも足の重さは感じない。コロナ罹患後は体力の不安が付きまとうのでペースは押さえ気味にしておく。山頂まで約4時間の予定であり、ペースを上げなければいつののように休憩無しで歩き続けられるだろう。三股から2170m肩までの間は場所によっては低い笹がはみ出していて、今回のように前日に雨が降った場合は登山靴や膝から下を濡らす。もう少し時期が進めば刈り払いが行われるが例年だと梅雨前はまだ行われない。実際にまだで笹が被った場所があったが距離は短く、防寒防水手袋で分けながら通過した。その後は倒木等はあっても体に触れる藪はない。登山道にはまだ水が溜まっているが、2170m肩に上がるまでは登山道が泥沼化している箇所はない。

 寝坊したので先行者がいるだろうと思っていたが標高1800m付近で単独男性を追い越した。かなりゆっくりペースであっという間に距離が開いてライトの光が見えなくなった。

 往路ではまだ暗い時間なので写真撮影はしなかったが、春の花はズダヤクシュ、マイヅルソウ、イワカガミなどが見られた。マイヅルソウは森林限界近くでも見られたが、こちらはまだ蕾も出ていなかった。

 2170m肩に到着した際には日の出前だが既に樹林帯の中でもライト不要な明るさになっていた。森林限界に向けて尾根を上がっている途中で日の出を迎えてシラビソが赤く染まる。樹林の隙間から見える左手の蝶槍も赤くなっていた。この尾根ではミツバオウレンとバイカオウレン、イワナシの花が目立った。イワカガミは蕾は多いが咲いている株はごく僅かだった。なお、2170m肩を通過した先の水平区間は前夜の雨で予想通り泥沼化した箇所が多く、登山道の端を通過した。

 標高2350m付近のアルミ梯子が森林限界で、これを登ると低いハイマツと花崗岩の斜面に変わって展望が開ける。常念岳〜蝶ヶ岳の稜線の向こうには残雪を纏った奥穂高岳と北穂高岳が見えている。ここから前常念岳までは花崗岩の急斜面が続いてなかなかきついが、休憩が必要なほどではなかった。高度が上がると共に徐々に気温が下がってきて手袋を出して腕カバーを着用した。なお、ここには残雪は皆無だった。東の空を見ると雲が多くて空気の透明度はイマイチで、志賀高原の山々は見えても奥日光の山は見えなかった。八ヶ岳や南アルプスは霞んでいた。

 前常念岳直下で男性二人組を追い越したが、そのうち一人は呼吸が荒くてペースが速すぎるようだった。この2人は私が山頂に到着してから約40分遅れで無事に登ってきた。

 前常念直下の避難小屋を通過して前常念岳の一等三角点へ。昨年は無かった新しい山頂標識が立っていた。これは常念岳のものと同じフォーマットであり、同じ人かグループが作成したようだ。

 ここから先は花崗岩の上を飛び移りながら進んでいくことが多く、片目がほぼ見えない私だと次の岩までの距離感や高低差が把握しにくいので歩きにくい。こういう場所こそ雪が残って岩が埋もれていて欲しいのだが雪は皆無。雪が僅かに残るのは登山道が尾根の北側を巻く短い区間だけであった。気温が高いせいか残雪は柔らかくてアイゼンは不要だったどころか、下が空洞で膝まで没したりした。その雪の上には登りの足跡があり、まだ先に登山者がいたとは。でも姿は全く見えなかったので間はかなり開いているようだ。山頂でも姿が見えずすれ違いも無かったので、おそらく蝶ヶ岳周回だろう。

 道にはみ出したハイマツはまだ湿っているので手で分けながら進む。この頃には足の疲労が徐々にきつくなってきたが、まだ足を止めるほどではなかった。

 この尾根も春の花が見られるので探しながら歩くと今年初のミネズオウを発見。既にたくさん開花していた。まだ少ないながらキバナシャクナゲも咲いていた。チングルマがある場所は残念ながらまだ雪が残っていて雪の下だった。ヒメイチゲも見られた。

 常念小屋からの縦走路合流点付近ではイワウメが咲き出していた。昨日が雨で小屋泊まりの人は少なかったはずで人が見えない・・・と思ったら軽装で下ってくる男性とすれ違った。常念小屋からの往復に間違いないだろう。ここまで来ると風が少し出てきて寒くなったので、岩陰で防寒装備を着用してから無人の常念岳山山頂に立った。

 天気は良好だが東側半分の空気の透明度はイマイチで、北信の山々、志賀高原、浅間山、八ヶ岳、南アルプスは霞んでしまっている。眼下の安曇野盆地は極端に低い雲が覆っているが、雲海と言うよりもおそらく霧であろう。南に目を向けると木曾谷は正真正銘の雲海に覆われて、その上には恵那山から木曾御嶽が見えていた。その右には残雪を纏った乗鞍岳。さらに右には穂高連峰から槍ヶ岳にかけての稜線。その右は三俣蓮華岳、鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳などの裏銀座の山々。大天井岳の右には立山、剱岳。その右は後立山と続く。これだけ見えれば上出来だろう。白馬岳などの後立山北部も霞んでしまっていた。

 もの凄く疲れたと言うわけではないが、いつもよりは疲れたので山頂で大休止しつつ展望を楽しんだ。この間にポツリポツリと登山者が上がってきた。私と同じ三股から上がってきた人が多く(と言っても4人くらい)、小屋から上がってきたのは2人だけだった。夏山とは違って終始静かな山頂だった。ちなみに常念小屋泊の2人は九州からやってきたとのことで、これから表銀座を逆縦走で今日の宿の燕山荘に向かうとのことだった。大天荘からの夏道の下りは今の時期は長い残雪のトラバースで滑落のリスクがあるので、大天井岳山頂から北に延びる尾根上の冬道を下るように言ったら、常念小屋のスタッフから既に同じアドバイスを受けたとのことだった。

 1時間ちょっとの休憩で下山開始。北西の冷たい風で防寒装備を着たままでちょうど良かった。三股から登ってきた登山者とのすれ違いは三股までの合計で20人くらいだっただろうか。2170m肩までに出会った人が多く、その後は数人程度だった。中には小学生高学年くらいの子供連れの親子もいた。

 前常念岳を通過して避難小屋前の広場では今年初の雷鳥に遭遇。オスとメスのペアでもうほとんど夏羽に生え変わっていた。メスの方は警戒心が強いようでハイマツの際で腰が引けた様子だったが、オスの方は堂々としていて岩の上に飛び乗って周囲を警戒。この時期は子育て前の縄張り確保の時期だからか。居場所が登山ルート上だったので、思う存分写真撮影した後に右手の岩を迂回して通過した。

 帰りは花を探しながら写真撮影。前常念岳の急な下りではツガザクラ、コイワカガミが咲いていた。樹林帯に入って往路ではまだ明るさ不足で見るだけだったミツバオウレンとバイカオウレンを撮影。2170m肩を通過後はイチヨウランの花を探したが今回は発見できず。まだ時期が早かっただろうか。帰宅後に昨年の写真を確認したら、イチヨウランを見たのは6月下旬だった。

 今回は大汗はかかなかったが全く汗をかかなかったわけではないので、三股分岐手前で沢に接する箇所で濡れタオルで体を拭いてすっきりした。林道終点では大ザックを背負った男性がいたが、これから入山かと思ったら私と同じく下山であった。前常念からの下りではないのは間違いなく、蝶ヶ岳からの下山だろう。昨日は雨だったので幕営は大変だっただろう。

 三股駐車場に到着。今回も通常よりもきつかったのは間違いないが、それでも登り/下りとも体力的にはまだ余裕があり、標高差1600mに十分耐えられることが分かって収穫だった。来週は標高1700mの白馬岳かな。

靴だけ履き替えて車に乗り込んで「まゆみ池駐車場」に移動してから着替えを済ませ、車載PCで記録を打ち込んでから帰宅した。天気はいいが思ったよりは気温は上がらず、車の中の気温が上がり過ぎずに快適だった。駐車場では山菜取りと思われる熊鈴を付けた人がいた他、三脚に巨大望遠レンズを取り付けたカメラを構えた人が数人見られた。おそらく野鳥の撮影と思われるが、どんな鳥がいるのだろうか。

 

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